カテコラミンの考え方

医療

まずは血圧とは

そもそも血圧って何でしょうか。定義をおさらいしておくと、血圧とは「血管の内側にかかる圧力のこと」を指します。そして、この血圧は「心拍出力(心拍出量)」と「末梢血管抵抗」に依存しています。

心拍出力が大きければ、送り出される血液量が増えるため、血管の内側にかかる圧力は大きくなります。

一定の血液量が血管を通過しようとするときに、末梢血管が収縮する(=末梢血管の抵抗が大きくなる)と、それだけ血液が通過しづらくなり、血管の内側にかかる圧力が大きくなります。

つまり、心拍出力(量)と末梢血管抵抗が大きくなったとき、血圧が上昇します。

ではカテコラミンとは

今回のテーマであるカテコラミンとは何でしょうか。カテコラミンとは、主に昇圧目的で使用される薬剤であり、心不全時やショック時など、血圧低下がみられるときに使用されます。

カテコラミンの種類

カテコラミンにも種類があり、それぞれ少しずつ作用が違ってきます。

今回は臨床でもよく使用されるアドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン、ドブタミンについてみていきます。ちなみにα・β受容体やγなどの細かい説明は今回は省略します。

アドレナリン

少量投与では強心作用と末梢血管拡張作用、容量が増えれば末梢血管収縮作用が強くなります。

ノルアドレナリン(NAd)

強い末梢血管収縮と弱い強心作用があります。

ドパミン(DOA)

強心作用と末梢血管収縮作用があります。

ドブタミン(DOB)

強心作用と末梢血管拡張作用があります。

末梢血管拡張作用

カテコラミンのうちドブタミンには末梢血管拡張作用がありますが、これって抵抗が小さくなって血圧が下がりますよね。カテコラミンなのに血圧が下がるの?という疑問が生まれるかと思いますが、その通りです。実際、DOBを投与すると、血圧がやや低下することがあります。これは大丈夫なのか、という点を「後負荷」と関連づけながら掘り下げていきます。

後負荷の考え方

後負荷=末梢血管抵抗と考えていただいて差し支えないかと思います。これまで述べてきたことからも、後負荷が大きくなると血圧は上昇することがわかりますね。

しかし、この後負荷が大きくなるということは、それだけ心臓が血液を全身に送り出すために必要な力が大きくなってしまうため、心機能が低下しているときには、心負荷が大きくなってしまう可能性があります。どれだけ末梢血管を収縮させて血圧を上げても、弱った心臓が悲鳴をあげてしまって血液を送り出せなくなったら本末転倒ですね。

つまり、DOBは、心臓の拍出力を強化しながら、血管を拡張させて後負荷を下げることで全身に血液を送り出しやすくしてあげているイメージですね。ただし、前述したように血圧が低下する例もあるため、ある程度血圧が維持できているときや、他のカテコラミンと併用することも多いです。

まとめ

カテコラミンの種類や投与量は、ドクターが血圧や他のデータを見ながらかなり綿密に調整してくれています。血圧や、CO /CIがわかる場合にはそれらの値も参照されるため、ドクターに共有しながら、循環動態を整えられるようにかかわりましょう。

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