手術前にする「ヘパリン置換」とは?

医療

入院された患者さんの持参内服薬は毎回確認すると思います。今回は、手術を控えた患者さんで、ワーファリンなどの抗血小板薬や抗凝固薬を内服されている患者さんが入院されたときの対応と「ヘパリン置換化」について紹介します。

まずは休薬できているか確認!

抗血小板薬や抗凝固薬は、血栓形成を防ぐ目的の代わりに出血傾向を来たします。

手術では、当然出血を伴うわけですが、これらの薬を内服したまま手術に臨めば、なかなか止血できずに大量出血となるリスクが高くなります。

この出血リスクを防ぐためには、休薬が必要になります。それぞれの薬には「半減期」というのが決まっており、最後に内服した時点からどれぐらいの期間まで、いわゆる ”血液サラサラ” の状態なのかを表します。これを基に、安全に手術に臨めるまでの「休薬期間」が決められています。

入院の時点で、手術日を確認し、いつから休薬が必要かを確認しましょう。多くの薬が7日以上の休薬期間が必要となるので、入院前からきちんと休薬できているかを確認しましょう!

休薬して大丈夫なの?

手術時の出血リスクを避けるためには抗血小板薬・抗凝固薬の休薬が必要なことはわかったと思います。しかし、そもそも薬を飲んでいた理由は血栓形成予防のためですね。

では、この薬を休薬するということは・・・

そう!血栓をつくってしまうリスクが高まるわけですね!

休薬期間の1週間の間に血栓を形成して詰まってしまえば、それはそれで大問題です。高度のASOなど、血栓ができることが非常にリスキーな疾患もあります。

出血を避けるためには休薬が必要だけど、休薬したら血栓ができてしまう・・・どうすればいいのか・・

そんなときに活躍するのが ヘパリン置換化 です!

ヘパリン置換化

例えば、ワーファリンやバイアスピリンの休薬期間は7日間です。これだけ休薬期間が長いから、血栓形成のリスクが高まるわけです。

理想としては、手術直前ぐらいまで「血液サラサラ」の状態にして、いざ手術のときは出血リスクの低い状態にしたいですね。そんな都合のいいこと・・・

をできるのが、ヘパリン なんです!

ヘパリンの半減期は60分程度と非常に短く、手術開始の4〜6時間前に投与中止すれば、手術時にはヘパリンによる「血液サラサラ」効果がなくなっています。まさに理想形なわけですね!

ヘパリン置換のやり方

手順は、概ね次の通りです。

  1. 休薬開始日ぐらいから入院して、きちんと休薬する
  2. それと同時並行で、点滴でヘパリンを投与開始する
  3. 手術当日or前日、医師の指示に従ってヘパリン投与を中止する
  4. 手術

看護師は、休薬が必要な薬をきちんと休薬できるように説明し、場合によっては看護師で内服薬管理をおこないます。

また、ヘパリンの半減期は短いと言えど、投与中止を忘れれば当然出血リスクが高まるわけです。出血リスクが高まったり、手術開始時刻が遅くなったりと、余計な問題が発生してしまうため、指示に従ってきちんと投与中止を完了させましょう。

まとめ

白内障手術など、手術内容によっては休薬が不要なものもあります。

「血液サラサラ」系の薬を内服されている、手術を控えた患者さんの入院時には、休薬期間の確認と、ヘパリン置換化が必要かどうかを必ず医師に確認しましょう。

また、術後の状態が落ち着けば、内服を再開することになります。退院が近づいているのに内服再開されていなければ、医師に一度確認してみましょう。

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