SpO2だけで判断しない!呼吸状態アセスメント
一般病棟での患者の呼吸状態の判断は、(血ガスを採取する場合もありますが)呼吸音とSpO2が主な判断材料になります。しかし、ICUやCCUでは、重症患者には動脈圧ラインが入っており、比較的容易・迅速に動脈血ガスを採取できます。そのガスデータも判断材料に加えた状態で、より詳しく呼吸状態をアセスメントすることができます。
では、ガスデータのどの部分をみればよいか、最低限覚えておきたいポイントについてまとめます。
呼吸に関連する値の意義と基準値
PaO2(動脈血酸素分圧)
・基準値:80〜99mmHg
血液中の酸素量です。PaO2が低下すれば、体内の酸素が不足している状態となるため、酸素投与の開始や増量が検討されます。
PaO2が60mmHg以下の状態を 呼吸不全 といいます。
PaCO2(動脈血二酸化炭素分圧)
・基準値:35〜45mmHg
血液中の二酸化炭素量です。PaCO2の低下は換気量の増大、上昇は換気量の低下を示します。
呼吸不全のうち、PaCO2が45mmHg以下のものをⅠ型呼吸不全、45mmHgを超えるものをⅡ型呼吸不全と分類されます。
P/F比
・算出方法:PaO2 ÷ FiO2(FiO2 = 吸気酸素濃度。大気の吸入時はFiO2 = 0.21)
・基準値:350〜400mmHg
肺の酸素化能の指標として用いられる簡易な指標です。呼吸により取り込んだ酸素から、静脈血をどれだけ動脈血に変化できるか(= 酸素化)を知ることができる値で、200mmHg未満で異常値となります。
肺胞低換気や拡散障害など、低酸素血症の原因の鑑別に使用されます。
さいごに
これまでSpO2の値を主に、酸素量の増減などを判断していましたが、血液ガスデータが加わったことで、CO2の値も含めて判断できるようになりました。
今後記事にもしたいと思いますが、Ⅰ型/Ⅱ型呼吸不全の判断なども含めながら、より詳しいアセスメントができるようになりましょう。
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