心嚢ドレーンの管理

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心嚢ドレーンとは

まず、心嚢って?

心嚢とは、心臓を包む薄い膜のようなものです。この膜がスムーズに動くことができるように、心嚢には少量の潤滑液が入っています。この心嚢のスペースはごく限られていて、このスペースに容量以上の体液が貯留すると、心タンポナーデなどになるリスクがあります。

心嚢ドレナージ

この容量以上に貯留した心嚢液を排出する方法が、心嚢ドレナージです。単回で心嚢液を抜きたい場合は心嚢穿刺、持続的に抜きたい場合は心嚢ドレーンの留置をおこないます。今回は、この持続的心嚢ドレナージについて記していきます。

どのようなときに使うのか?

まずは、先にも述べたように、心タンポナーデとなった場合や、心臓の手術後、手術による身体侵襲による体液や血液が心嚢内に貯留している場合です。これを治療的ドレナージといいます。

次に、CABG術後など、手術後の吻合部や切開部からの出血や排液が予測される場合です。この予測される排液を回収する目的の予防的ドレナージと、吻合部の離開などの術後トラブルをドレーン排液から知る目的の情報ドレナージが考えられます。

心臓血管手術後、心嚢ドレーンが入ってくるときには、予防的ドレナージと情報ドレナージの2つの目的が大きいですね。

どこをみるか?

排液量

術後、良好な経過をたどっていれば、排液量は1日あたり100mL未満で経過します。これを超える排液量が続いたり、急激に、1時間に200mLを超える排液がみられたときは、術後の縫合部などからの出血を疑います。

出血がみられるときには、再開胸に至ったり、ヘパリンなどの抗凝固系薬剤の調整などの必要性があるため、すぐに医師に報告しましょう。

逆に、急激に排液量が減少したときには、ドレーンないが閉塞している可能性が考えられるので、注意しましょう。

排液の性状

手術直後は血性に近い性状ですが、時間の経過につれて性状は徐々に薄くなっていき、薄く黄色っぽい漿液性になっていきます。

血性の排液が継続する場合や、薄まっていた排液の性状が急に血性になったときにも、手術部位の出血を疑いましょう。

持続吸引

術後は-10~-20cmH2Oの陰圧管理が行われます。

チューブ内に排液が溜まったままだと陰圧が有効にかからなくなってしまうため、観察ごとに排液をきちんとドレーンバッグ内に流しましょう。

凝血塊やフィブリン塊によってドレーンが閉塞される場合もあります。適宜ミルキングをおこなって、有効なドレナージをおこないましょう。また、ミルキングにより急激に陰圧がかかってしまうため、血圧変動などにも注意が必要です。

まとめ

心嚢ドレーンは、字のとおり、心嚢内のドレナージをおこない、心タンポナーデの治療・予防や、術後出血の早期発見の目的を担っています。ただし、ドレーン留置による感染など、別の問題を生じる可能性もあるため、必要性がなくなれば早期の抜去が必要です。

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