臨床における人工呼吸器の設定の中で、SIMVモードを使用している場面をよく見かけるかと思います。
今回は、この「SIMVモード」の特徴や管理方法について説明していきます。
SIMVモードの特徴
SIMVとは、「Synchronized Intermittent Mandatory Ventilation:同期式間欠的強制換気」のことを指し、強制換気と自発呼吸を組み合わせたモードです。
SIMVモードで設定する項目は、主に以下のものがあります。
- FiO2(酸素濃度)
- 換気回数
- 1回換気量/吸気圧
- サポート圧
- PEEP
SIMVモードには、従量換気と従圧換気の設定があり、従量換気モードでは1回換気量を、従圧換気モードでは吸気圧を設定します。
強制換気と自発呼吸
SIMVモードでは、設定した換気回数の分だけ、1分間に強制換気をおこないます。この強制換気のときに、設定している吸気圧(または1回換気量)の分だけ換気されます。
そして、設定した換気回数を超える自発呼吸に対しては、サポート圧がかかり、自発呼吸での換気をおこないやすくしてくれています。
「換気回数:10回」「吸気圧:15cmH2O」「サポート圧:10cmH2O」と設定されていて、自発呼吸が15回/分のとき、自発呼吸のうち10回(3回に2回の呼吸)に対しては15cmH2Oで強制換気され、残りの5回の自発呼吸に対しては、吸気に同調して10cmH2Oを圧サポートしてくれます。
ウィーニングで活躍
人工呼吸器の離脱に向けて、患者を強制換気から徐々に自発呼吸に慣れさせていく訓練をウィーニングと言います。
今まで強制換気に慣れていた状態から急に「自発呼吸で頑張れよ!」と言われても、呼吸回数や1回換気量が十分足りずに、酸素化が悪くなったり、呼吸筋疲労(呼吸に対する負荷が大きく、呼吸筋が疲労してしまう状態)を起こしたりしてしまいます。
そこで、SIMVモードが活躍します!
ウィーニングの手順
強制換気モード(吸気圧:15cmH2O、PEEP:5cmH2O、換気回数:15回、FiO2:80%)からウィーニングしていく場面をみていきます。
- ①SIMVモードに変更する
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強制換気モードからSIMVモードに変更します。この際、吸気圧と換気回数は、強制換気のときと同様に設定しておきましょう。
- ②換気回数の設定を減らしていく
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強制換気の入る「換気回数」を徐々に減らしながら、自発呼吸の回数を増やしていきます。
- ③呼吸状態の評価
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自発呼吸の回数が少なくないかを確認する。具体的には、呼吸回数の減収に伴って分時換気量(MV)が目標の量より少なくなっていないかを見る。
また、頻呼吸になった場合にも注意が必要です。換気補助が不足しており、呼吸回数を増やして補おうとしている可能性があります。
動脈血ガス分析ができる場合は、酸素化、換気、乳酸値などからの評価も参考になります。
- SPONTモードに変更する
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SIMVモードでの呼吸状態に問題がなければ、SPONTモードに切り替えて、自発呼吸に完全に切り替えましょう。
SPONTモードに変更した際にも、③と同様に、呼吸状態の評価をおこないながら、場合によってはSIMVモードに戻しつつ、人工呼吸器の離脱に向けて進めていきましょう。
まとめ
SIMVモードは、強制換気モードと、SPONTモードの中間に位置づけられるモードです。
患者の呼吸状態に合わせて、換気回数や1回換気量/吸気圧を自在に変更できるため、呼吸補助が必要な時期とウィーニングを進めていく時期で、設定変更をおこないやすく、使い勝手のいいモードとも言えます。
看護師は、患者の状態をアセスメントしながら、まだ呼吸サポートが必要かどうかを判断していきましょう。
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